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愛しのワン子

渡辺 道子  二本松市中ノ目

 大震災当日、私は当直明けで両親宅に帰宅しましたこれが運命というべきか、めずらしくその日は『昼は外食しない?』との母の誘いに父は首を横に振り、めったに食べない茶漬けを食べた。普段はまず食べないのに。わが家にはマルチーズのメスが一匹いるが歳はもう老犬。食後、犬は留守番で母の病院に付き添うことになる。数日前に手をけがした母の治療のためだった。治療が終わり、帰宅の途中、買い物に立ち寄ったお店の駐車場で今まで感じたことのないものすごい揺れに母と二人車を止め、降りることもできずびっくり!!買い物はやめ、6国で帰宅。その間余震で揺れっぱなし。あちこち陥没していた。留守番させた犬が気にかかり、帰宅後すぐガレキと化した家の中を母と二人で探す。

 数十分後、父帰宅。父の膝の上には愛しのワン子が立って吠えていました。母と二人、涙を流し、思わず腰が抜けました。小さな家族。わが家の家族3人と一匹全員の安否がわかった瞬間でした。


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