ホーム - はまかぜ - 大和田 剛オレは頑張ってるぞ!

オレは頑張ってるぞ!

(有)アド・プロ広芸社

大和田 剛



「揺れてる!」頭をよぎったのは現場に出ている従業員たちのことだった。大病院の屋上で看板の取付作業をしているはずだ。急いで現場に向かおうとしたが双葉町内の道路は隆起していてなかなか進まない。常磐線の線路下を通って行こうと思ったら、線路が今まで見たこともない形に変形していてやっと事の重大さがわかった。やっとの事現場に到着したら、皆屋上から降りていて会社に引き上げるところだった。普段通りであれば三十分程度で帰れるのになかなか着かない。会社に残ってる従業員は?何十キロもある材料が倒れて下敷きになっていたら?社屋も老朽化していたから潰れていたら・・・。不安ばかり募る。女性たちは皆帰宅していた。若い男性従業員が残って現場班の帰りを待っていてくれた。男性陣がやっと揃った、無事を確認している途中、一人いない。置いてきた。慌てて部長が戻る。暗くなり始めてやっと無事の確認がとれた。銘々に避難したままバラバラになってしまった。ちりじりになった従業員。皆の生活が心配だった。当面の生活を維持させるためやむを得ず解雇。「すまない」こんな事がなければ。やっと最近このままではだめだと思い腕一本あればなんとかとかなる。違う場所に居る皆に「俺は頑張ってるぞ!」とこの姿を届けたい。(三春町にて) 

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